2014年1月25日土曜日

接続要素を制する者はMEPを制す(2)


システム分類を統一する

廊下側の吸込口をクリックするとシステム分類が「排気」であることがわかります。一方部屋うちの吹出口はシステム分類が「給気」になっています。システム分類が異なると無理やり接続するとエラーになるので、吸込口の接続要素をシステム分類「給気」に変更しましょう。

ファミリを開く

廊下の吸込口を選択し「ファミリを編集」をクリックしファミリエディタを開きます。接続口を選択してパラメータを見るとシステム分類が「還気」になっていることがわかります。これを「給気」に変更し再度プロジェクトにロードします。
 
接続要素を選択しシステム分類を変更する

プロジェクトで吸込口をクリックすると下の図のようになり、接続要素が「給気」になったことがわかります。
吸込口の接続要素が☒(給気)に変更されたことがわかる

 この状態で前回と同じようにダクトをつなぐと今度はエラーなくつながります。 
エラーなくつながる
つながった途端、ダクトもエアターミナルも青色になることに注目してください。

接続要素に染まるダクト

この状態でダクトを選択すると、システム分類が「給気」になっています。これはグレー表示されていて変更することができません。
ダクトのシステム分類が「給気」となり変更できない
ダクトはそれがつながっている接続要素のシステム分類に「染められる」のです。一方システムタイプは「給気」になっており、これは変更可能です。名前が同じなのでわかりにくいのですが、この「給気」は自分で増やすことができます。ファミリブラウザを展開して、[ファミリ]-[ダクトシステム]-[ダクトシステム]を見てみると、3つの項目が存在します。
排気、給気、還気のシステムタイプがある
この中で「給気」をダブルクリックして「グラフィックの上書き」を選択すると、青色が指定されています。このため平面図は青色になっています。
システムタイプごとに表示を変えることができる
ここでも名前が統一されておらず、システムタイプがダクトシステムとなっており、わざわざわかりにくさを増大させていますので注意が必要です。

システムタイプ(ダクトシステム)の活用方法

このシステムタイプは自由に複製することができますし、また名前も自由につけることができます。 
ファミリブラウザの「給気」を右クリックし複製し名前を「外気」に変更します。タイププロパティを編集し、グラフィックスの上書きを「赤」にしておきます。 
ダクトシステム「給気」を右クリックして複製し「外気」を作成する
そして再度ダクトを選択しシステムタイプをクリックすると「外気」が選択肢に現れます。
「システムタイプ」に「ダクトシステム」が表示される
このときシステム分類が「給気」のダクトシステムだけが表示されます。そしてこれを外気に変更するとダクトと制気口が赤色になります。

ダクトシステムが「外気」に変更されると表示がかわる
ダクトのシステム分類は「給気」「排気」「還気」の三種類しかありません。これは大分類であり、これをさらに拡張する機能としてシステムタイプが存在します。システムタイプを活用することで、色だけではなく、タグを使ってダクトの情報を図面上に表示することが可能になります。

システムタイプのプロパティをタグで表示したり、表示を変更することが可能
このようにシステムタイプ(ダクトシステム)を活用することで、システム分類をさらにこまかく分類することが可能になります。

2014年1月12日日曜日

接続要素を制する者はMEPを制す(1)

具体的につないで確認する

接続要素の振る舞いを知ることはMEPモデリングにとって大変重要です。今回は具体的にモデルを作成しながら、接続要素の重要性を確認します。
下の図のように、部屋と廊下をパスダクトでつなぐという、プリミティブなモデリングをしてみます。廊下側から部屋に空気が流れているとして、「機械テンプレート」に含まれている
  • M_吹出口
  • M_吸込口
を配置してみました。
吹出口と吸込口を配置

次にこの両者をダクトで接続します。いずれかを選択・右クリックし「ダクトを作成」を選択し、相手につなごうとするとエラーになります。
エラーが表示される

エラーメッセージは
  • 接続しようとしている要素には、異なるシステム分類があります。
です。どういう意味なのでしょう?

システムを組んでみる

次にシステムを組んでみます。廊下側の吸込口を選択し、[修正-エアターミナル]の[システムを作成]パネルの[ダクト]をクリックします。すると次のダイアログが現れます。

[システムエディタ内で開く]にチェックを入れてOKし、部屋にある制気口を選択し、システムに追加しようとすると・・・・
吹出口をシステムに追加することができない
 これまたエラーになります。

システム分類が異なると接続できない

これらのエラーの原因は残念ながらエラーメッセージを読んだだけでは何のことやらさっぱりわかりません。エラーメッセージには

  • システムのシステム タイプ(還気)と一致する利用可能な接続がありません。

となっていますが、この表現はあまり適切とは言えません。正しくは

  • システム分類「還気」と一致する利用可能な接続要素がありません。

です。前回の図を思い出してください。
システム分類が同じ接続要素しか仲間になれない
システムとは同じシステム分類に属する接続要素の集合です。ダクトのシステム分類は

  • 給気
  • 還気
  • 排気
  • 他の空気
  • 継手
  • グローバル
があり、今回のモデルでは部屋側の制気口が「給気」、廊下側の制気口が「還気」になっており、システム分類が一致しません。そのためシステムを組むことができないのです。冒頭のように手作業でダクトを接続したときのエラーメッセージは接続が論理的におかしいことを示していたのです。

システム分類の見分け方

接続要素のシステム分類を見分ける方法は簡単で、クリックしてみればすぐにわかります。
接続要素のシステム分類・接続ダクトサイズ・空気の流れがわかる
接続要素をもつ要素を選択すれば、接続要素ごとに

  • システム分類
  • ダクト接続部のサイズ
  • 空気の流れ

がわかるようになっています。(この3つの情報がわかることに着目しておいてください。モデリングを行う際、この3つの情報が実に有効なのです。)
システム分類は次のような絵で示されます。
クリックすればシステム分類がわかる
次回は制気口のファミリを修正し、接続要素についてもっと詳しく見てみましょう。